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書斎と居間などで2台のパソコンを使い分けている人が増えてきました。そのとき戸惑うのが、通常使っているメールアドレスをどのように使うか、あるいはどのように使えるかということです。メールの送受信は世界規格で決められたメールシステムによるわけですから、おのずと使い方にも制約が出てきます。
今回はこのメールシステムの基本の考え方を復習して、2台のパソコンでのメールアドレスの使い方とその設定方法をみていきます。さらにパソコンの台数が増えても、メールアドレスが複数あっても考え方は同じです。
<メールシステムの復習>
まず、私どもが毎日使っているメールシステムはどのように構成されているかを復習することにします。パソコンのメールシステムについては、すでに「メールは取りに行かなければ届きません!」で説明しましたが、改めてもう一度復習しておきます。
そのメールの送受信の仕組みを下図で簡単に説明します。A さんがB さん宛のメールを送信したとします。A さんが契約しているプロバイダのメールサーバーに送信すると、他の多くのメールサーバーを経由して、最終的にB
さんが契約しているプロバイダのB さん用のメールサーバーまで転送されます。
B さんはこのメールサーバーまで自分宛てのメールを取りに行きます。ここで、「メールを取りに行く」という行為、すなわち「受信」操作が必須です。送信先のパソコン電源はON とは限らないので、メールは相手パソコンには届けられません。メールはプロバイダのメールサーバーに保管しておき、受取人がそれを取りに来るのを待つという仕組みになっています。
電話やFAX の仕組みが、送信先の電源ON を前提としているのに対して、メールの仕組みは送信先のパソコン電源OFF を前提としています。 従って、電話やFAXでは情報が相手に直接届きますが、メールが届くのは送信先プロバイダのメールサーバーまでです。この根本的な仕組みの違いを理解していないと、メール操作の基本を誤ることになります。
<パソコンが1台のとき>
パソコンが1台のときは、上記のパソコンシステムを理解して通常のメールの設定をしておけば、難しい問題は何もありません。ただ、近頃ではウィルスメール対策として、SMTP認証の設定とOP25Bの設定は欠かせません。数年前までは任意であったこの2つの設定を、今では殆どのプロバイダがユーザーに対して必須設定として指導しているようです。
さて、このメールの設定の1項目に、プロバイダのメールサーバーまで届いたメールを自パソコンに「受信」した後に、サーバーにメール(のコピー)を残したままにするか、空にするかの設定があります。下上図は私が使っているBecky! の、下下図はWindows Liveメールのその設定画面を抜き出したものです。
一般のメールソフトでは、下図マウスの矢印のところにチェックがないのがデフォルト値です。普通はこのままにしておく、すなわち受信の都度サーバーは空にしておくようにします。玄関の郵便受けの中を、いつも空にしておくようなものです。きわめて当たり前の設定です。
<パソコンが2台ある場合>
パソコンが2台あり同じメールアドレスを双方のパソコンで使いたいとします。個人に与えられたプロバイダのメールサーバーは1つしかありません。メールを受信した後にこのサーバーの中を、どうするかに考慮を払う必要が出てきます。
パソコン2台ともに、送られてきたすべてのメールを受信して、パソコン2台のいずれにもすべてのメールを保存するということは、パソコンのシステムを考えると不可能です。2台のパソコンとも受信したメールをサーバーに残す設定をすれば可能ですが、そんなことをしたらいつかはサーバーが溢れてしまいます。2台のパソコンのうち、一方は「サーバーを空にする」設定をして、他方は「サーバーに残す」設定をするしかありません。
ならば、メインのパソコンでサーバーを空にする設定をして、サブのパソコンはサーバーに残す設定をするのが現実的です。こうすることで、メインのパソコンでは送られてきたすべてのメールを受信して、すべてのメールを保存管理することができます。メインのパソコンでメールを受信した後はサーバーを空にしますから、その後サブのパソコンで同じメールは受信できませんが仕方がありません。サブのパソコンは緊急のときメールが来ていないかちょっと覗いてみる、そんな感覚で使うようにします。
<パソコンもメールアドレスも複数ある場合>
パソコンの台数がさらに多くなったり、メールアドレスが複数個あったりしても考え方は同じです。複数台のパソコンのうちの一つをメインのパソコンとし、残りをサブのパソコンとして設定するだけです。このときメールアドレスごとにメインのパソコンを決めることもできますが、ややこしいのですべてのメールアドレス共通に一つのメインのパソコンを決める方がいいでしょう。
この場合、一つのメールソフトに複数のメールアドレスを設定できたら便利です。WindowsXPまで使われてきたOutlook Expressは、複数のメールアドレスを同時に設定することはできませんでした。XPではOutlook
Expressとは別のメールソフトがもう一つ必要でした。
幸いなことに、Vista以降に使われることが多いWindows LiveメールやMicrosoft Outlook(Outlook Expressとは異なります)は、複数のメールアドレスを設定することができます。私の使っているBecky!
やMozilla Thunderbirdなども複数のメールアドレスが使えます。
<送信済みメールの処理>
ここまでは、受信したメールの処理を考えてきました。受信メールだけを考えれば、メインのパソコンですべてのメールを保存管理することができます。ところが、メールの送信をサブのパソコンからしたときは、送信済みメールはサブのパソコンにしか残りません。これは基本的にはどうすることもできません。さすがに、「送信済みメールボックス」は共有できません。
ただ、裏技的にはサブのパソコンから送信したメールを、メインのパソコンの送信済みメールと一緒に管理することはできます。サブのパソコンから送信するときは、BCC:に自分宛のメールアドレスを指定しておきます。メインのパソコンでこれを受信したとき、この自分宛のメールを「送信済みメールボックス」に自動振り分けするという方法です。数は多くないので、ドラッグ&ドロップで移動してもOKでしょう。